イメルダのあの素晴らしい才覚、誰をも魅了してやまないあの表現力、のみこまれそうな彼女特有の哲学。
しかし現実はそんな彼女を地位・権力を乱用して国家財産を私物化したとし告訴され、150件もの裁判は今も続けられている。
イメルダの主張する「真実」と、彼女を弾劾する「事実」、この相反することを見事に描いた若き女性監督。
イメルダのいう「見方の相違」が正しいのか、「民衆の意見」が正しいのか、あなたなら どう思いますか?
その非凡なる人生の果てに彼女が得たのは、グロテスクな蝋細工の夫と自己正当化のための奇怪な人生哲学だった……ああ、イメルダは明日の私かもしれない。
東南アジアの多くの国々が体験した開発独裁体制。フィリピンのマルコス政権もその典型例だったが、夫とともに権勢をふるったファーストレディーの足跡を映像と関係者の証言でたどる貴重なドキュメンタリーだ。
美しきフィリピンの母なのか、歴史に名を残す悪女なのか。どちらにしても最高にヴィヴィットな生き方!
もう誰からも顧みられなくていいはずのイメルダに、なぜ私たちはこうも惹きつけられてしまうのか? それは、彼女があまりにフィリピン的……つまり「人間的、あまりに人間的な」可笑しみを哀しいまでに発露しているからだ。
